あでゆ

塔の上のラプンツェルのあでゆのレビュー・感想・評価

塔の上のラプンツェル(2010年製作の映画)
3.7
深い森に囲まれた高い塔の上から18年間一度も外に出たことがないラプンツェルは、母親以外の人間に会ったこともなかった。ある日、お尋ね者の大泥棒フリンが、追手を逃れて塔に侵入してくるが、ラプンツェルの魔法の髪に捕らえられてしまう。しかし、この偶然の出会いはラプンツェルの秘密を解き明かす冒険の始まりのきっかけとなる。

『魔法にかけられて』、『アナと雪の女王』に代表されるディズニープリンセスの逆襲的な一連の流れを決定づけた代表作。
見た目を気にするババアvs見た目に縛られないプリンセス。
そのテーマの捉え方は徹底的で、やたら人間ぽいウマから優しい荒くれ、武器として情けなく見えるフライパンからペットのカメレオンまでどのキャラクターも見た目とのギャップを意識した作りとなっている。モチーフとしての鏡の使い方も上手い。

上手いといえば、マザー・ゴーテルのダブルバインドがめちゃくちゃリアルで、虐待する親ってこんな感じなんだろうなとちょっとゾットした。
「私が悪いってわけね」とか、言い方一つ一つに癖があっておぞましい。

『アナ雪』と同じで、主人公の能力も彼女のネガティブさを形にしたものとなっている。
髪の毛の魔法は、あくまで過去に戻る、過去を見るネガティブな力に過ぎない。だからこそ彼女が未来へ進むためにはその力を失うか、ポジティブな方向に能力を消化させる必要があるわけだ。

序盤のバーでのミュージカルシーンはあまりにも露骨すぎる気はするが、まあ見る年齢層を考えるとこれくらい必要なのかもしれない。そしてアニメーションとしても観ていてアガる場面であることは間違いない。
さらに感じたのはピクサーとディズニーのCGアニメは演出の付け方が全く異なっていて、『蒸気船ウィリー』のようにディズニーは現実感のなさはあまり気にせずに一つ一つの動きで面白くさせようとしているところだ。
例えばユージーンのくせに姫の旦那になっているユージーンとウマとの痛快な軟体動作のやりとりみたいなところもあまりにも過剰で現実離れしているが、それが一つ一つとしてギャグになっている。

ランタン祭りのような映像が幻想的でとてもう美しかったのだけれど、だからこそさらにヴェネツィア的な王宮が舞台装置としてもっと活きてくれれば良かったなと、映像的におしいところもあった。
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