昼行灯

瀧の白糸の昼行灯のレビュー・感想・評価

瀧の白糸(1933年製作の映画)
3.5
活弁喋りすぎ、結構字幕あるのでいなくてもよいのではと思った。溝口健二って長回しの中で動き回るカメラが特徴的だと思うので、活弁が横でギャーギャー喋ってるのは正直不快ですわ…✋字幕が頻繁に挿入されて映像が途切れるのもなあ

橋での構図がよかった。入江たか子と岡田時彦の橋での再開のシーンは、入江たか子が岡田時彦のいる橋の上まで駆け寄って出会う。水芸の太夫である入江たか子は橋の下、孤児とはいえ士族の岡田時彦は橋の上に位置しており、この位置関係はそのまま身分の差を表している。
対して、ラストでは岡田時彦が橋の下で自殺する。このとき既に入江たか子も自殺済みなので、岡田時彦は入江たか子のいるあの世に駆け寄ったといえる。橋を越境のための装置と捉えると、前者は社会的身分、後者は生死を越境することで2人の恋を可能にしたということだろう。

牢屋の柵の演出も面白かった。まあ牢屋だから直接的にがんじがらめの表象になっているのだけど、牢屋の柵が画面の半分くらいを占めているショットとかもあって、入江たか子が抑圧されてる感じがよく出てた。他方で獄中で入江たか子が岡田時彦の夢を見てる時は、カメラがズームインして入江たか子の顔面をクローズアップにしていた。このことによって画面から牢屋の柵が消え、入江たか子が岡田時彦のことを思っているあいだは、たとえ獄中においても幸せなのだと思わせられた。

最後の法廷シーンは『裁かるるジャンヌ』を思い出した。裁かるるジャンヌがいつの時代の作品かは知らんけど、検事側がローアングル、被告側がハイアングルで撮られてるところが似てた。

あと、岡田時彦の下宿先のおばあさんはさすがに入江たか子の素性を察しろよ…
原作読んでないけど泉鏡花みはあまりない気がする。陽炎座の原作も読まねば~
昼行灯

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