SatoshiFujiwara

愛の渇きのSatoshiFujiwaraのレビュー・感想・評価

愛の渇き(1967年製作の映画)
3.6
浅丘ルリ子が実に美しい。後年のどぎつい化粧のオバハンになった浅丘を思い出してはならない。浅丘主演ということもあるが、本作はどうにも吉田喜重の『水で書かれた物語』を思い出し、あれに映画として川島雄三の『雁の寺』のイメージが重なる。石立鉄男は言われなきゃ気が付かないかも知らん。

冒頭、蝉の超クローズアップからの浅丘ルリ子が中村伸郎の髭を剃るシーン、都合2度登場する(野外も含めれば3度)屋敷での一家全員が揃った、オルミをもじって言えば「偽りの晩餐」(!)での真俯瞰からの皮肉めいた長回し(1度目は途中からクレーンがズーンと下がってほぼ水平に食卓を捉える)、ベタでいささか気恥ずかしいスローモーションなど見どころ多数。蔵原惟繕ってこういうキッチュなことやる人だったんですか。黛敏郎のスコアは音彩が実に才気走っておりかっちょええ。取り立ててすごい傑作とは思わないが、この時代の日本映画の典型的な佳作。で、わたしはこういうのに弱い。
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