デニロ

新仁義なき戦いのデニロのレビュー・感想・評価

新仁義なき戦い(1974年製作の映画)
3.5
VODで夫婦もの、恋愛もの、病気もの等々を続けてみていたが、動かない話をじっと2時間観ているのがツラくなって、話も画面も動くものを検索していたら、本作が目に入った。昔、観てはいるのだがどんな内容か忘れているし、新のつくシリーズを全部見ていたか確認したくなった。

1974年の年末に田舎で観た記録があった。そうか、10代の頃、上京する前の作品なんだ。

『仁義なき戦い』の山守組を舞台に繰り広げられる分裂抗争。若山富三郎がシリーズ初参加。派手な衣装で荒れ狂っている。彼を中心に、菅原文太、田中邦衛、松方弘樹、中谷一郎、渡瀬恒彦、宍戸錠がもつれ合う。

いまひとつヒエラルキーが分からない。菅原文太は山守組のために同業者を殺し刑務所に8年ぶち込まれ仮出所。出てきても金もなければ子分もいない。そんな男を何故に周囲の者が腫れ物に触るというのか、大物扱いするのだろう。それがヤクザの世界と言えばそれまでだが、しかし、彼の生活の面倒など誰もみてはいない。

もつれた糸をそんな彼がほぐした挙句、彼の描いた絵図に収斂していく。それは8年に亘って冷や飯を食った男の復権の方法。頼りにするものなどどこにもなく、あるのは自分の知恵と構成力。そんな物語。更に続いていく話ようだ。そうだったっけ?

若山富三郎の所作が浮いている。渡瀬恒彦は大仰だ。松方弘樹は最後に見せ場をもらい、田中邦衛はこのシリーズではいつも同じ役回り。チンピラが襲撃するシーンに、おいおいそんなにバタバタと走ったら転ぶよ、と言いたくなる。

“最後じゃけぇ、言うとったるがのう。追われる者より追う者のほうが強いんで。そがあな考え方しとったら、隙ができるど。”

はい。気をつけます。

1974年製作公開。原作飯干晃一。脚本神波史男、荒井美三雄 。監督深作欣二。
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