薔薇

わが町の薔薇のレビュー・感想・評価

わが町(1956年製作の映画)
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 次々と起こる悲劇を淡白に描きながら主人公の佐渡島他吉がバイタリティで乗り越えていく前半とそんな他吉が時代に置いていかれる哀愁を帯びた後半。明治〜昭和の揺れる時代背景を踏まえながら他吉という強烈なキャラクターの人生を綴る。

 川島雄三監督のどんな作品も”喜劇”にしてしまう底にある明るさが本当に大好きすぎる。一見ヘイトが向いてしまいそうな他吉という主人公を最後の引き際まで綺麗に真っ直ぐ描いていた。

 土手を走り抜けるシーンの演出の大胆さが川島雄三作品のバイタリティが見えて好き。当時の大阪の風俗観を見れるだけでも貴重な映画。
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