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わが町のodyssのレビュー・感想・評価

わが町(1956年製作の映画)
3.0
【頑固一徹でむちゃくちゃな男】

頑固一徹な生き方をする大阪男を描いた映画です。

明治時代、フィリピンできわめて難しい道路工事を日本人が請け負って、犠牲者を出しながらも完成させました。(これは歴史的事実で、こういう史実があることを私はこの映画で初めて知りました。)この工事をやりぬいたということを誇りとする男が大阪に帰ってくるところから映画は始まります。

日本に残しておいた妻子とどうにか再会するのですが、妻はまもなく死に、小さい娘を男手一つで育てるはめになる。ここ、住まいの長屋の住人もからんで、人情喜劇的な側面が強くなります。

やがて娘は大きくなって恋人ができるけれど、男はその恋人に無理難題をふっかけて・・・。詳しくは略しますが、男は今度は孫娘を男手一つで育てることになる。そして・・・

むちゃくちゃで頑固な男を辰巳柳太郎が好演しています。妻と娘の二役で若い頃の南田洋子が出てくるところも見もの。

男の頑固さが、結局は娘や孫娘を男手ひとつで育てなきゃならなくなるという形で自分に跳ね返ってくるのだけれど、人生、こういうものかも知れませんね。今どきの日本では、こんな頑固でむちゃくちゃな男も絶滅危惧種になっているから、その意味では貴重な映画と言えるかも。
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