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夏の夜は三たび微笑むのnotitleのレビュー・感想・評価

夏の夜は三たび微笑む(1955年製作の映画)
4.0
スウェーデンを代表する名監督イングマル・ベルイマン先生の作品。
男と女の恋と不倫を巡るストーリーなのだが、1955年の映画にも関わらず、面白さがちっとも古くないところが驚きである。

コメディセンスが冴えていて、水たまりに落っこちたりパジャマ姿で追い出されたり壁に大仰な装置が組み込まれていたりと、ビジュアルで笑わせてくれるあたりで気が利いている。
台詞のテンポもとても良く、つまらない会話が一切ない。カメラもどっしりと構えて割と長めのワンショットで撮られている。会話劇の面白さでグイグイと引き込んでくるのは演劇畑の監督だからだろうか。

それから、ほんのりとしたエロチックな描写。直接的ではないにしても、観客の下心をくすぐるさり気無いエロが満遍なく仕込まれている。男と女の話にエロは付き物だよ、君。

ストーリー自体は、今の時代から見ても、かなり前衛的というか攻めていると思う。
スウェーデンなのでアメリカのヘイズコードと関係なく扇情的なシーンが描けるのは元より、そうした描写によって表現される強く逞しい女性像、女による恋の選択、男の本質的な弱さといったものは現代的ですらある。
ラストは人によって賛否分かれるかもだが、そこに至って不倫や下心といったものがちっとも否定的に描かれていないのは興味深い。
ベルイマン先生、すごいなぁ。
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