シネマスカイウォーカー

トイ・ストーリー3のシネマスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー3(2010年製作の映画)
4.5
ピクサー30作品目。長編としては11作目。

ピクサー長編アニメーションでの最古参シリーズ『トイ・ストーリー』の約10年越しの続編にして(一応の)完結作。
自分にとって本当に泣いてしまう映画のひとつ。
1作目直撃世代もアンディと同じように歳を重ねていると思うと現実とリンクしてなお趣深い。

今作でのピクサーの進歩はまずなんと言ってもストーリー展開にあると言える。2作目以降の作品が作られているピクサー作品はこの時点では他にない。時代やマンネリと言った課題が立ちはだかる状況でも観客が納得いく3作目を作り見事に風呂敷を畳んでいることは実に見事だと思う。
映像面においては行く所まで行った感はあるが強いてあげるとすれば、前2作のようなCGならではの動きとテカり感は無くなったように見える。特におもちゃの質感の差や背景の壁紙などロケーションといった細部に至るまでCG独特のテカりが無くなっていた。
また、人間のクオリティも高くなっており、表情や仕草、髪の毛の質感などの表情を克服したことにより、人間とおもちゃの関係を前2作よりも格段に多く描くことに成功している。

他にも演出やカメラワークはもはや実写映画にも負けない見応えがある。
まず冒頭、荒野を走る蒸気機関車を空から段々と近づいてゆきカメラがパン!ウッディを下からのアングルで撮る。ここのシーンは映画のかっこいい演出のツボをおさえている。
ここのアンディの空想シーンの掴みは本当に最高で褒める所はあげてもキリがない。
名作映画のオマージュも多く、アンディ(子供)が色々な映画を見て影響されたということが見て取れる。バック・トゥ・ザ・フューチャー3の機関車落下→スーパーマンと言ったオマージュやILMから持ってきたであろうジュラシックパークのT・レックスの音源、スタートレックの転送装置などなど。
その他シーンでも演出や脚本が光っている。雷の中サニーサイドは本来恐怖とは程遠いはずの保育園を見事に地獄のように見せたりなどなど。
極めつけはアンディがボニーを元に訪れるシーン、「大学行き」のダンボールから他のおもちゃ達を覗いているようなカットで見せておいて、実はおもちゃ箱の底に入っていましたという演出はちょっとしたミスリードとなり涙腺にトドメを刺してくる。

子供心をくすぐる脱出劇もかなり評価できる。おもちゃの檻の感じやケンの家の衣装部屋はワクワクしない訳がない。「Le Freak」に乗せたケンのファッションショーが大好き。


今作ではファミリー全員で行動を共にする脚本になっているため、複数のキャラクターをムラなく描くにあたってキャラクター整理いわゆる”一軍”のおもちゃ達だけが残された状態にしたのは正解だったと思う。

ラストシーンは涙無しでは見られない。
まずウッディが皆と一旦の別れを告げるシーンで既に涙が出る。
「ウッディはずっと昔からの友達なんだ。〜彼はどんな時も友達み捨てない絶対に」というアンディのセリフはおもちゃコミュニティとのウッディとシンクロして感動。ウッディを肩車するなどおもちゃ達と最後の遊びを終えた後、去り際に「Thaks guy's(ありがとうみんな)」
……アンディの部屋の壁紙と同じ空、
泣くしかないよね

大号泣させた後にちょっと楽しい気持ちにさせるエンドロール中の映像も良い。ケンとバービーでサニーサイド保育園を楽しい場所に変えるという展開は個人的には結構気に入っている。
ここで流れる曲「We Belong Together.」からの「You've Got a Friend in Me」のスペイン語バージョンは最高。

今作は最高のフィナーレと最高の感動、最高の演出を与えてくれる良作だった。ここまで泣く映画にはそうそう出会えるもんじゃない。

バズのバッテリーには『ウォーリー』に登場したBNL社の電池が使われていたりピザプラネットの車がまたも登場したりと、小ネタもしっかりとある。また、初期の短編作品『ティントイ』のおもちゃ達が棚の下で身震いすると言ったシーンのオマージュまでされている。個人的には『ミッションインポッシブル』の床スレスレオマージュも結構好き。

ボスのロッツォを裏切ってゴミ箱へ落すビッグベビーは改心して皇帝を裏切って奈落に落すダースベイダーだった。

気のせいかもしれないがゴミ処理場のシーンでは『モンスターズ・インク』でかかったものと同じように感じたけど違うかな?