せいけ

放浪記のせいけのレビュー・感想・評価

放浪記(1962年製作の映画)
4.5
林芙美子の一代記
時に愚かで時にたくましい生き方を描いていており、毎度のことながら高峰秀子の熱演が見どころ
特徴的な顔立ちと声質でありながら毎回きちんと違った人物に見えてくる
自身の貧乏エピソードを赤裸々に綴ったという林芙美子の作風をそのまま踏襲するかの如く、全てを曝け出したような演技
放浪記ができるまでの物語、そもそも放浪記自体が自伝的作品でもあるということから何重にも連なるメタ構造になっているのも面白い
自分の人生を切り売りする覚悟こそ普遍的なものになっていく
成瀬作品としての面白味ということでいくと他の作品より若干薄めだが十分1本の映画として見どころがある