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放浪記のかずシネマのレビュー・感想・評価

放浪記(1962年製作の映画)
3.8
森光子の舞台版が非常に有名な作品。

高峰さんの演技がとてつもなく光っている。
心中複雑だろうにお盆を持っておちゃらけるところ、好きだなぁ。

作中色々な出来事があったけどとりあえず、京子がふみ子に原稿を預けるのはいかんと思ったよ。
京子が怒るのは当たり前だし、ふみ子がやった事は卑怯そのものだが、信頼や友情があったってやっぱりライバルなんだから。
そんな風に思ったかどうかは描かれていなかったが、舐めてんのかって捉えられてもおかしくはなかったと思う。
「原稿を預ける」という行動は、これがただの友人同士なら何の疑問もわかない事だが、対等なライバルとして相手を認めているなら普段どんなに相手の事を好きで仲が良くて信用していたとしても、絶対にやっちゃいけない一線を越えた迂闊な行動だと自分は思った。

他の登場人物は皆、清濁入り混じった人間らしい描かれ方をされていたが、そんな人達の中にいるものだから余計に安岡さんだけが異質で、彼は聖人か何かなの?と思った。
彼はスポンサーと言うかパトロンだった訳だけど、果たしてこんな人いるのかなぁ~なんて思ってしまった自分は心が汚れている。
ダメンズなんて放っといてこの人の元へ行きなよ、きっと幸せになれるよって何度も思ったし、本人もどこかでそれを分かってただろうけど、どうしてもそんな目で見る事が不可能な相手だったんだろうな。
そういう人っているものな…。

どの場面でも草笛さんの着物が可愛くてとても素敵だった。

しんどくても何を言われても、私はやってやるんだ、という反骨精神を見習いたい。
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