CANACO

激流のCANACOのレビュー・感想・評価

激流(1994年製作の映画)
3.3
『カメラを止めるな!』に負けないくらいの低予算映画に見える、激流川下りサスペンス。撮影は主にアメリカ北西部にあるモンタナ州のクートネー川で行われたらしい。

仕事ばかりしていて、家族だけでなく犬との関係も悪くなっている父親・トム。妻のガイルは12才で川下りを始め、15年前まではリバーガイドを務めたこともある川下りのプロ。ガイルの提案で、幼い息子ロークの誕生日会も兼ねて、家族全員と愛犬のマギーで祖父の家に数日間滞在することになっているが、トムは仕事に忙殺されている。

当日、現地で川下りをしに来たガイルとロークは、人当たりのよいウェイド含む男性3人組と出会う。ロークはすぐ懐く。
別々に川を下るはずだったが、男性グループのガイド役がいなくなったことでウェイドらは立ち往生。乞われてガイルらのボートに同乗することになったが、徐々にウェイドの振る舞いに違和感を感じるようになり……という物語。

『マッドマックス』ではないが河川版の一本道映画で、A級とはいわずともB級のバランスの良い作品。笑えるくらいガイルの川下りスキルが高い(ように見える)。アクションシーンは90%ほどメリル・ストリープ本人が演じたそう。※雑誌『PREMIERE』1995年5月号より。
ガイルの判断力と腕力は、NEXT(映画『エイリアン』の)リプリーオーディションがあったら合格するレベル。

個人的に好きなのがデヴィッド・ストラザーン演じる父親トムで、建築家の隠キャなのに、全然運動音痴じゃないし家族愛と嫁愛に溢れてる感じがどんどん出てきてよい。祖父と祖母、妹のことは監督と脚本家に忘れられてる気がするが、犬のマギーのことは最後まで忘れずに扱っていてよい。

ウェイドを演じているのはケビン・ベーコンで、本作では安定の冷徹で下衆なケビンが見られる。個人的は終盤の豹変したときに「やっぱり上手いなあ……」と感じた。

意外といったら失礼だけど、夫婦間の愛を取り戻していく話でもあり、嫌な気持ちにはならない。どんな扱いでもやり遂げるケビン・ベーコンも好き。


◻︎メモ
1995年公開のカーティス・ハンソン監督作品。ひとつ前に『ゆりかごを揺らす手』(1991)の監督を務め、のちに『L.A.コンフィデンシャル』(1997)、『8 Mile』(2002)を撮る。
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