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コミック雑誌なんかいらない!のakrutmのレビュー・感想・評価

4.5
ロケンローラー内田裕也が芸能レポーター・キナメリを演じた、滝田洋二郎監督の一般映画デビュー作。公開当時に観ただけだったので、もう一度観たいとずっと思っていたが、念願が叶った。

当時起こった実際の事件をモチーフにした様々な事件に対して、芸能レポータのキナメリが突撃取材をするというストーリー。ロス疑惑で突撃取材を受ける三浦和義など、実際の事件の当事者が出演していることもあり、当時もかなりの話題になっていた。山口組と一和会の抗争や、松田聖子と神田正輝の結婚式への取材も実際の現場で行っているなど、虚実入り交じった作りが面白い。おニャン子クラブなんて、すごく懐かしい。

しかし、この映画は単純な色物ではない。これまた当時議論の的になっていたジャーナリズムと芸能レポーターの関係や、惨事に直面したときのジャーナリストの使命とは何かなど、ジャーナリズムの在り方を問うている映画でもある。早稲田の政経出身でジャーナリスト崩れであるという設定のキナメリが、自分のプライドと葛藤しながらも淡々と芸能レポートや風俗レポートをこなしていく姿は、まさにジャーナリズムとは何かを観賞者に突きつけてくる。そしてラストシーンに出てくる豊田商事会長が報道陣の目の前で刺殺されたという事件をモデルにしたシーンでは、キナメリが実際の報道陣とは異なる行動に出る。最後につぶやくキナメリの一言がとても印象的である。

最後に、キナメリのミューズを演じた麻生祐未が初々しかった。確か当時はオールナイトフジの司会をしたり、カネボウのキャンペーンガールに選ばれたりと、売出し中だったと思う。結構ファンだったことが懐かしい。
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