Haru

十二人の怒れる男のHaruのレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
5.0
作中の90分近くが陪審室という密室で展開される本作。事件の回想シーンすらなく、''有罪''か''無罪''かの二択においての議論のみで構成される徹底ぶり。

エアコンなんて存在すらしない時代、唯一の暑さを凌ぐ扇風機はぶっ壊れ、蒸し暑い密室でいい大人たちが汗だくになりながら喧々囂々白熱した議論を交わしている。

きっとあの暑さからしてみんな怒ってる。

モノクロからでも分かるあの蒸し暑さとオジサン臭さと煙草の煙たさ、たまらん。もしリビングで煙草吸えてたのなら、これ一本観てるうちに軽く一箱は吸えたよ。


事件の真相すら明かさずとも、12人の男たちが議論に議論を重ねて導き出した答えそのものに注力している点において、一切のモヤモヤとした感覚が残らないよう作り込まれている。

なにより、脚本はもちろん、俳優陣の演技が密室での心理描写人間描写を強く引き立てていて、めちゃくちゃに面白い。

90分間ずっと圧倒されっぱなしでトリハダは立っちゃうし、何故かほぼずっと涙目で観てた。

不朽の名作です。
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