Kaikot

十二人の怒れる男のKaikotのレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
3.0
演出も俳優の演技も社会的な意義も素晴らしい映画だと思います。昔見た時はひとつの部屋の中だけの劇でこんなに面白くなるのかと、興奮し、何度か再見してもやはり良い映画だなと思いました。

ただ、今回、見ていたらどうしても辛くなってしまった。この陪審員の中には女性が1人もいません。そこに違和感を持ち始めて、更にこの前後で60,70年代に作られた映画を続けて見たことにより、あまりの女性軽視が辛くなりました。時代を知るためにもあの頃のやり方を残して見せてくれる映画は素晴らしいと思います。ポリコレなどと言って本当は存在していた、している差別シーンを削除したり、刺青や煙草を映さなくなったり、そういう臭いものに蓋をするやり方は今の体裁を気にしているだけのような気がしてむしろ鼻につきます。

ただ女という性によって、大人の人間としても人権が持てなかった時代がこんな最近にもあったという事実に、愕然とする気持ちがどっと湧き出してしまい、落胆してしまいます。自分のコンディションで見え方も変わるものだなと思いました。

この映画自体は良い作品だと思います。
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