武藤

魂萌え!の武藤のレビュー・感想・評価

魂萌え!(2006年製作の映画)
4.3
映画 魂萌え!  原作小説よりもモチーフが強調されています。

 時間が足りません。ちょっと薄っぺらい。もう少し時間が欲しいところ。

 原作小説と比較して違うのはラストシーン。彼女は自立した存在となるところです。就職し独立する。自分の好きなものに魂萌させるまでの過程を描いています。

 夫が早死にして、息子たちに財産をよこせとか老人扱いされる59歳の主人公の未亡人。夫の不貞、友達たちとの距離感、子供との関係性の中、今まで見てこなかった現実の厳しさをカプセルホテルで知り合った風呂婆さんとその甥の話しから実感する。

 最初は男に頼ろうとし、夫の友達の老紳士と寝てしまうが、それは違うと、自分自身の人生を模索するところがいい。この男と別れたことで、男の身勝手さを思い知り、愛人に対する憎しみよりも、その気持ちを利用した男たちに対する嫌悪感が強くなったのだと思います。

今まで、のほほんと生きてきたんでしょ。

と夫の愛人になじられて、その愛人の中にも自分と同じ混乱を見出した。この瞬間、彼女は次のステップに向かったのだと思います。男に依存する生き方。子供に依存する生き方ではない。違う生き方を考え始めた。

原作小説では、自立のところまではなく。本作品のラストで彼女が映画館で技師?として働き始める。そこがポイントのように思えます。

 原作小説では、裏切られ続けます。子供に、嫁に友達に夫の仲間に・・・。そして、最大の裏切りは夫の浮気。その中で葛藤するもがき苦しむのですが、映画のほうが小説よりもシンプルなラインで進行しているのでわかりやすい。

 主人公の風吹ジュンさんと三田佳子さんの罵倒合戦はリアルで見ものです。正直、おもしろかったです。 
武藤

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