けーはち

眠狂四郎 殺法帖のけーはちのレビュー・感想・評価

眠狂四郎 殺法帖(1963年製作の映画)
3.3
眠狂四郎(市川雷蔵)第1作。加賀藩の騒動に巻き込まれ忍者・拳法家と立ち回り。可憐だが陰りのあるヒロイン千佐(中村玉緒)が出自・運命に翻弄され儚い悲劇に収束する。剣劇はカット少・長回しのロケが主、リアル感ある殺陣。強敵と相まみえる一戦で出て来たる円月殺法、ハッタリ・心理戦法の一種であろうか、理屈は分からぬが構えた刀が360度一周するまでに敵を斬り伏せる秘剣の代名詞である。好敵手として登場の少林寺拳法の使い手・陳孫は若山富三郎(城健三朗)が熱演。少林拳というより武骨な空手・柔道だが、刀と無手でやりあう猛者である。眠狂四郎のキャラ自体は本作が第1作ゆえ定まっていないか、冷淡・妖艶・虚無的な孤剣鬼ではなく、ひねくれ者を自称するも意外に正義漢。全体にこんなもんでどうっすかと様子見する空気が漂う。まあ『ゴルゴ13』すら連載初期はペラペラ喋ってたし多少はね。