Ryoma

バルタザールどこへ行くのRyomaのレビュー・感想・評価

バルタザールどこへ行く(1964年製作の映画)
3.7
はっきり言って僕はこの映画の発する魅力を十分に感じ取ることが出来ず、終始異国のよう分からんパンを食っているような気分に見舞われた。それは僕にとって、硬くぼそぼそとしたパンであり、同時に、慣れた人や地元の人は良く堪能して味わうパンなんだろうなーとも思わせる、パンだった。
まるでサイレント映画のように、ショットで状況を語っていく手法(例えば人物の手の動きをクローズアップして何が起こっているのかを伝える)は、なかなか斬新で、終始飽きずに観ていたが、それは同時に、少々説明不足に感じさせる要因にもなった。だからストーリーというか登場人物の関係というか…そういうのがあんまり頭に入ってこない。けどまあそんなことはどうでもいい。結局映画としては絵になっているのだから。
あとは登場人物の演技が、「過度なくらいに」淡々黙々としていて、これは明らかに監督に意図する演出なのだろうが、僕はこれがあまり合わなかった。でもこれもやはり斬新な演出で、効果的といえば効果的だと思う。しかし淡々と無機質すぎて、登場人物何回笑っただろう?とか、めっちゃ棒読みじゃね?とか思ったりしたが。まあでも、この映画の無二の個性であることは間違いないけど。
そして、バルタザールと名の付くロバ。これがストーリーの狂言回しあるいはシンボルとしてあんまり機能してないかなーと感じたが、この思いは先述した異国のパンの思いであるから、いつか見返すと意見が変わるかもしれない。つまり、ああこのパンこういう訳でおいしいじゃん、と。
Ryoma

Ryoma