ギャス

鬼畜のギャスのレビュー・感想・評価

鬼畜(1978年製作の映画)
3.2
児童虐待や養育拒否の背景には何があるのか、気弱で優しい男がなぜ、の一つの可能性を突きつけた映画。
この映画の作られた時代の"近頃の若者夫婦"の"育児放棄の傾向"の極端なかたちとして描かれたようだが、この時代以前も現代でも変わらない問題なのだろうと思わせる。
演技とはいえ子役への虐待描写があまりに酷いのでトラウマになっていないか心配になった。

ネタバレ
気の強い妻の憎悪感情と気弱で優しい夫の優柔不断さという組み合わせにより起きた事件。2人の鬼畜への道のりはそう不自然ではなかったと思えるところがこの映画の怖さであり見どころだろう。
頼る人が親1人しかいない状況での6歳の子どもの、お前なんて知らないと言う最後のセリフはかなりの断罪だ。そこで泣き崩れる父親の情けなさ。しかし、そんな事態を招いたのは責任感のないそして計画性のない彼自身が発端だ。もちろん安易に信じた母親の責任もあるが。どちらも大人になりきれていないとでも言おうか。
しかしそんな親にこそ子どもがたくさん生まれてしまうという状況は当然あるだろう。
飛躍するようだが、里親制度支援や児童養護施設へはもっと予算をかけて充実すべきではないかと思った。この悲劇はどこで止められたのだろうと振り返ると。
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