しちみ

鬼畜のしちみのレビュー・感想・評価

鬼畜(1978年製作の映画)
3.8

1970年代でここまでの完成度、天晴れ!
よく映像でここまで作成出来たなと感動しましたよ(>_>)

昨今は虐待・ネグレクトやらで問題が多発し、現実的にも増えましたし映像としてもそういうものを題材にしてるものは多くなりましたよね。

変な好みだと思われるかもしれませんが、私はそういう救いようのない暗い話が結構好きでよく見るのですがその中でもこの映画は傑作と言えるでしょう。

この作品を見終えた後に誰が1番"鬼畜"なのか?という疑問にブチ当りますが、私は間違いなく宗吉だと思いますね(笑)
だって7年間も愛人と関係を続けてて、隠し子も3人いて金回りがいいときは養育費を渡してたけど苦しくなったらそれもしないってタダのクズじゃないですか(-_-)

とはいえ 子を捨てた実母、殺害を計画した継母に比べたら全然だよ!なんて思う人もいるかもしれませんがすべての凶源は宗吉ですよ。そしてそれが首を絞め、実の子を殺害するという更に鬼畜な展開に。

見ていて苦しい。いつの時代も子供に必要なのは暖かい家庭だと痛感しますよ。1990年代生まれなので昔がどういう感じだったのかは知りませんが、近年ほど虐待などで騒がれてない年にこのクオリティーで作れることに驚きです。

パッケージに載っている
『弟はきっと星になったんだ。妹はきっとお金持ちに拾われたんだ。父ちゃんはきっと僕を殺せないよ。』
の文がものすごい胸を締め付けました。

弟は殺されたなんて自覚できないぐらい幼いうちに殺されてしまい、妹は殺された訳ではなく"捨てられた"で終わりました。しかし利一は違います。はっきりと明確に自分が実の父親に殺されかけたと理解できるのです。

なんだなんだいってそれが1番鬼畜かなぁ…。ラストシーン悲しくて涙が出るとかじゃなくてただただ恐ろしくて血の気が引く。6歳という幼さで1人で生きて行く覚悟を決めた利一の人生はさらに鬼畜なことが待ち受けてるんだろうなぁ…。

うまく表現できませんがとにかく恐ろしい映画でした( ´_`)
興味のある方は是非見てみてください。(コンディションが良い時にしてくださいね。笑)
しちみ

しちみ