伝説のクソ映画をようやく観賞。
はっきり言って思ってた程ではなかった。これより酷い作品はある。
渡邊文樹監督の作品や自主映画祭の方が酷い。
確かに主演が信じられないくらい棒読みだがイケメンなので観れる。セリフが聞き取れるだけマシである。
脚本は驚くほど説明的でダサいセリフのオンパレードなのだが、起承転結はしっかりしてるので迷子にはならない。
CGはプレステ2以下なのだが努力は伺える。昔のゲームだと思えば良い。
そして何より、永井豪氏の原作が普遍的に人間の愚かしさを掘り下げているので、どれほど説明不足で描写力も解釈不足があっても、骨組がしっかりしてるので案外、テーマは伝わってくる。
真面目な話をするとデーモン狩りをする人間たちが、今のコロナ感染者狩りをする人達と重なってしまい、普通に怖くなった。この時、僕は完全に那須監督の術中にハマったのだ。ちゃんと人間社会の業を感じることができたのだ。
そして何より、この那須監督はデビルマン公開後ほどなくして癌で亡くなっているのだ。ありとあらゆる人からコテンパンに言われて心労が祟ったのではなかろうか。まるでデーモン狩りのように今も続く批判が恐ろしい。
作品を観ていると、ボブ・サップやらKONISHIKIや小林幸子など意味不明なゲスト出演が多いし、下手くそを通り越してギャグにまでなっている演技未経験の主役などが出ているところを見れば、これはかなり芸能界の横槍がはいって思うように創れなかった部分があるのではなかろうか。製作費10億円もかかってるものに演技未経験を置くなんて変である。
色んな芸能界の闇が働いて、この作品は監督の手を離れたのでは、と勘ぐってしまう。もし、そうなら芸能界という悪魔と戦い続けて自らがデーモン狩りにあってしまったデビルマンは監督その人であったということになってしまう。
それならば悲しすぎるので、せめて冥福を祈るように作品を乏しめるのではなく、暖かい眼で観てみたい。
確かに拙い作品なのだが、ここまで来ると逆に想像力が働いて細部にまで、こちらの思い描いたディテールが脳内に発生するのだ。
そうなると、もはやアート映画の領域である。
ある意味、究極のアート作品として、きっといつまでも名を残すであろう駄作の金字塔。
まさに伝説の名作である。