愛のある映画

ある日どこかでの愛のある映画のレビュー・感想・評価

ある日どこかで(1980年製作の映画)
4.6
こんなに映画で泣いたのはいつぶりだろう。そして、これほどに美しいラブストーリーを知らない。しかし、ただただ形容し難い。
タイムリープものにおいては定石というか、なんとなくこうなりそうだな、といった予測のもとに鑑賞することがお決まりであるのだが、それでも本作がとてつもなく苦しいほどに切ないのは、言うまでもないこと。
ファンタジーでしかないのに、フィクションでしかないのにどうしてこんなにも2人に没入してしまうのか。
冒頭を観て、結末を知って、再び冒頭を観て、それでもなお、2人の永遠を願ってしまう。
この画がとか、音楽がだとか、印象深く刻まれた世界を心の底から丁寧に、かつ走りながらも愚直に言葉にしようとするが、どれ一つとして追いつかないのだ。
ここに残るは、語り尽くせぬ余韻のみ。それは空気のごとく捕まらず、そして水のように透き通り滑らかである。ため息が出るほどに。