アヤ

ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポのアヤのレビュー・感想・評価

3.0
6月は桜桃忌があるので、毎年太宰尽くしになる。今年も大忙しの6月が終わってしまった。太宰原作の映画は観ないことが多かったけど、たまには、桜桃忌だし、と思って鑑賞。

前半は原作にとても忠実に進むので、「大丈夫?これ2時間もつ?」と不安になったが杞憂だった。『ヴィヨンの妻』以外にも、『思い出』『きりぎりす』『グッド・バイ』だったり、太宰自身の水上温泉での心中や小山初代との話らしきものも盛り込まれていて、太宰ファンもそうでなくても興味深く飽きずに観れると思った。監督の太宰作品への敬意が、丁寧な描写からひしひし伝わってくる。

浅野忠信はわりと好きな俳優さんだし、太宰の雰囲気がよく合っていたと思うけど、やっぱり太宰の小説の中の文言って、他の人に言わせちゃだめなんだよな、っていうのが実感だった。観ていて白けてしまう。だけどこれは多分私が太宰治に盲目だから。一方で松たか子が素晴らしかった。凛とした美しさ。
この『ヴィヨンの妻』の作品自体が、男の弱さと女のしなやかさ・強さを描いているものであって、そう感じさせた2人や他の俳優さん達はとても役に合っていたんだと思う。

太宰原作の映画、食わず嫌いならぬ観ず嫌い?だったけれどこれから少しずつみていこうと思った。そして7月になったけれども雨がじとじと降って気が滅入るので、私は引き続き太宰作品を熱読します。
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