オーウェン

ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポのオーウェンのレビュー・感想・評価

3.5
佐知のような完璧な女性を妻にもって、なぜ大谷は他の女と浮名を流すのだろうかと思うだろう。
でもこういう男はいる。それは完璧すぎるがゆえだ。
どこも欠点がないから、それでは息が詰まる。だから酒で気分を良くしたりするのだ。

そのくせこういう男は妻が浮気のような行動をすると、すぐ怪しんで皮肉を言う。
つまり自分はOKでも、妻はダメだと。
いわゆるダメ亭主なのだが、小説家の特権とばかりに謳歌する。

だからこそ最後の佐知の決断をどう思うかで評価は大きく変わる。
これを献身というのか。はたまた頭のおかしい女性なのか。
個人的には唇の件でおあいこだと感じたのだが、巧く納得できない節もある。

それでも浅野忠信と松たか子は誉められる。
どちらも下手をすれば嫌われる対象であるが、魅力的に見せている。
特に松たか子の健気な妻はこの作品の光でもある。
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