キミシマユウキ

ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポのキミシマユウキのレビュー・感想・評価

3.7
太宰治原作の映画化作品の中では断トツで文学的な情緒が漂っていて好き。
キャスト陣も文句なし。
なにより主人公を演じた松たか子の幸薄そうだけど健康的な美人な魅力素晴らしい。それでいて色気も漂っていて最高なんですよね。
浅野忠信は逆に目立ちすぎない引き算的な演技だけどしっかりクズ男だし、童貞くさい妻夫木君やモラハラめっちゃしてきそうな堤真一も良い。
そしてプライベートでもその奔放さが話題な広末涼子の愛人役演技がも危うくて好き。
元が短編なので序盤~中盤にかけては台詞も含めてしっかり原作をトレースしつつ、中盤からはオリジナル展開にシフト
ただしっかり太宰へのリスペクトは忘れない造りでかつ、『グッドバイ』『桜桃』などの別作品のオマージュも入れちゃったりなんかしておちゃめな演出が光ります。
そして原作以上に様々な肉付けをした後の有名なセリフ

「人非人でもいいじゃないの、わたしたちは生きてさえいればいいの」

の重みですよ。これは原作を越えるレベルだった気がします。
太宰フリークの皆様、いかがです?にわかファンの僕はとっても好きでしたよ!