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トリコロール/赤の愛のRIOのレビュー・感想・評価

トリコロール/赤の愛(1994年製作の映画)
5.0
充分悩み哀しんできた人々に監督が更に残酷な幕引きをするのではないかと怖かったのに愛そのものの無限の扉を開いていた 良かった

いつか何処かですれ違っている
街角か電車のホームか海の上か
同じように誰かに傷を負わせ受けてきた
信じては裏切られ
愛を注ぎたくても応じては貰えない

天啓にも聴こえ響き渡る音は3部作を通して暗闇に手を差しのべていた

苦しみを与える人の肖像を胸の内に描きながら

「僕は知っている 苦しみこそ地上も地獄も決して蝕まれることのない唯一の高貴なもの
僕の神秘な冠を編むためには あらんかぎりの時と世界が必要なのだ」ってボードレールも言ってます
「この王冠は原初の日の光の神聖な炉から汲んだ混じりけのない光でしか作れない」
と続けている

老人ジョゼフが完全な絶望の淵で見た光がヴァランティーヌの体を通して部屋へと差している こんなにも美しく表現できるんですね 涙

暗い深淵に叩き落とされても
甦る愛の強さを描いてたんではないかな
1粒の水滴が水面に落ち波紋が無言に広がるように無くならないでいる
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