日向日向

県警対組織暴力の日向日向のレビュー・感想・評価

県警対組織暴力(1975年製作の映画)
4.3
最近は日本の昔の映画に凝っており、そのため今作を鑑賞。
最後の切なさでこれを上回る作品はそうないと思います。

タイトルでは県警と組織暴力(ヤクザ)との対立を前面に押し出しておりますが、前半は全く雰囲気が異なっていたのは驚きでした。
県警に所属する菅原文太氏が主役のはずなのですが、彼の行動により、むしろヤクザ側に情が湧いてしまい、複雑な気分になりむした。だけどすごく面白いんですよね、これが。

印象に残ったのは、ヤクザ側の一人が密告した仲間に仇討ちするシーン。
こんにちは赤ちゃん、と聞き慣れた優しいフレーズがバックに流れているというのに、行われてるのは惨劇、というギャップや異常性を活用した描き方には衝撃を隠せません。
正義は勝つ、そんな当たり前な主張のはずなのに、久能と海田の顛末を観ていると、どうもそう断言できなくなってしまうのがこの作品の怖いところだと感じました。

意図しているのでしょうか、正義のはずの海田が悪に、悪のはずの久能や広谷が絶対的な正義に見える異色な作品だと考えざるを得ない素晴らしく、そして深い作品でした。
日向日向

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