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アデュー・フィリピーヌのpecoのレビュー・感想・評価

アデュー・フィリピーヌ(1962年製作の映画)
4.3
群集の中から登場人物として何人かが名前を与えられ、彼ら彼女らに観客の意識を集中させることが、ただの記録映像を映画にしてるのかな。

分かりやすく倒すべき敵や解決すべき謎がないことで、却って映画としての密度が増している様な気がする。

女の子がただ街を歩く、というだけのシーンをいつまでも見ていられる気がする。
彼女の歩みに合わせてカメラを右から左へゆっくり移動させることで、歩くスピードと手前の道路を車が(左方向へ)走っていくスピードとの違い、彼女の奥にある建物だけは右側へ流れてゆくベクトルの違いを意識させることができる。
彼女の目線の先、画面左側が未来で、既に後にした右側が過去という時間の流れも感じさせられるというような、当たり前の光景に様々な要素があることに意識的になれる面白味なのかな。
普段気にも留めないようなことに着目してみると思いがけない驚きがあるという示唆なのかもしれない。
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