松浦義英

GONINの松浦義英のレビュー・感想・評価

GONIN(1995年製作の映画)
2.5
24.05.18:。

ちあきなおみで4.0なのに、Vシネマ的な撮影で2.5。
Vシネマ的なモノに慣れてないからなんだけど、慣れてる人が心底羨ましい。
慣れてたら絶対この作品は高得点だろうから。

今の俺的にはバブル崩壊→つまはじきの説得力がどうも弱すぎた…。

観辛いけれどもホモセクシャルに拳銃という男根メタファーのバイオレンスは相性が悪いわけはなくて。
アクションシーンと、挿入歌のちあきなおみシーケンスはなかなか。

マジでホモセクシャルな映画にちあきなおみはズルい。
これだけでただの(大きくは)ブロマンス映画ではなくて、
いろいろなメッセージが浮かび上がってくる。社会に揉まれることとか…いろいろさ。
歌の力ってすごい。
この曲を持ってくることで、幻覚のような演出だった"人が消える"演出に一本筋が通るのがすごい。比喩ですよね。

『昔の自分が なつかしくなり 酒をあおる
騒いで飲んで いるうちに こんなにはやく 時は過ぎるのか
琥珀のグラスに 浮かんで消える 虹色の夢
あの日あの頃は今どこに いつか消えた 夢ひとつ』

(Xにたけしが『紅い花』を歌う番組映像があってグッと来た。
そういえばどこか『浅草キッド』っぽい部分はある気が。
たけしのこういう男気溢れ過ぎなところ大好き。
雨のたけしの狂気と少年性の同居感の恐ろしさ、超ゾクゾクする)

半殺しにされてる男と女がいて、女をチンピラが犯して…生(性)と死の対比は使い古されているけれど人間の滑稽さがこれでもかと表現されていて好き。
後、根津甚八の奥さんが肢体不自由な所。
(なぜなのか考えてみたけれど、元刑事だし事件に関係してそう。
それでも優しさですよね。
ここも『紅い花』に通じると思う。
というか五人に関係する全員へのレクイエムだよな…)
でも、拳銃自殺を試みる所、乾いた空気感がなさすぎてな…
加えて作品として大っぴらに良いのがアクションシーンだけという…
邦画の悪いとこ出てる。
そのせいでラスト30分だけでいい気もするような…。
雨✕ちあきなおみ✕決死ってズルいわ。

本木雅弘の変装が本木雅弘に見えなくて驚く。
バイク事故復帰後のたけしのギラギラ感たまりませんね。無口で幽霊みたいなキャラ付け、合いすぎる。
竹中直人の芸達者っぷりは凄い。いいホラー演出だった。
佐藤浩市はなぁ…親父と違って演技に光るものが見えてこないんだよなあ…。
根津新八はかっこいい。

たけしと奥山プロデューサーの作品をもう一度観たい。
松浦義英

松浦義英