餃子夫人

櫂の餃子夫人のレビュー・感想・評価

(1985年製作の映画)
3.6
私の好きな大ヒット作「鬼龍院花子の生涯」や「陽暉楼」に続き宮尾登美子と五社英雄監督の名コンビで描く文芸感動巨編。
このコンビの三部作の完結編となる本作は、大正初期から昭和10年代までの高知を舞台に、女街(本当は街という字ではありません。すみません)の一家としての人間模様を描く。
前2作品が好きな私としては今作は最後が納得いかず…。スコアも一番低いです。
しかし、ヒロイン喜和の女としての性、母性、妻としての立場が見事なまでのカメラワークと細部にわたる表現が、夫役 緒形拳の凄みの演技と重なり目が離せない。
現実にあった芸妓の為への身売り請負い家業で生き抜いていく一家。
そこを支えてきたのは妻、喜和。
何人もの女を連れ自分にする男尊女卑が如実に現れている。
私は、このコンビは好きで五社英雄が緒形拳に惚れ込んでいるのが伝わる。
美人をこんなにも美しく撮れる監督は居ないかもしれない。
儚くも強い女性像が現代にない、慎ましさも見える。
私としては前2作品が、あまりの素晴らしさで今作は少し、大人しくも見えがちだか
十朱幸代が本当に美しい。
五社英雄監督にかかるとフィルターをかけても芸術になる。
初めの頃は土佐弁が分からず困ったが今作は優しめでした。
餃子夫人

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