がちゃん

大人は判ってくれないのがちゃんのレビュー・感想・評価

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)
4.1
12歳の少年の小さな反抗を、詩情豊かでおおらかなタッチで描いた、トリュフォー監督の長編デビュー作。

スポーツも勉強もできない少年が、映画だけが好きだという設定がいいなあ。

本編で主人公の少年が、唯一心から笑っているシーンがある。
両親と映画を観に行くシーンだ。

こんな両親に育てられたら、そりゃあひねくれてしまいますよ。
完全に育児放棄状態ですから。
まだ素直なほうだと思いますよ。

息苦しい生活の中で、なんとか楽しみを見つけようとする少年の生き方がたくましい。

家出して、
街を徘徊して、
夜が明けて、

何でもないシチュエーションなんですけどジーンとします。

精一杯考えたのだろう、割の合わない窃盗を犯してしまう。
あまりにも幼稚な犯罪。

少年鑑別所から脱走して海岸にたどり着き、放心したような少年の顔が忘れられない。

いろんな映画のオマージュがいっぱいなのも、
この作品のうれしいところ。
ベルイマン監督の「不良少女モニカ」のポスターを破って盗んだりね。
ほんのワンカットだけ、ジャンヌ・モローが出演したりしている。

今観ても新鮮な魅力がいっぱいのトリュフォー作品。
おすすめです!
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