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大人は判ってくれないのkentaのレビュー・感想・評価

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)
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ヌーヴェルヴァーグの映画を見始めたが、ヌーヴェルヴァーグとは何か、何が評価されたのか全く理解していなく、勉強不足は否めない。

特に悪さをするつもりでなくとも、いつも悪い方に転がってしまう少年アントワーヌ。純粋に心の赴くことをすると、それが非行とされてしまうだけで根っからの良い子なのか。もしくはただ誰かの気を引きたい、愛されたいのか。なぜなら、血の繋がった母親でさえも彼に辛くあたり、その上堕しておけばよかったと、彼の心を砕く本心を言ってしまったのだから。母を求める心が行動の随所に現れるのかもしれない。
しかし映画を観終わる前に彼がどんな人物を決定することは不可能だ。それは最後の瞬間に決定されるのだ。
学校も家も追い出され施設に閉じ込められるアントワーヌ。母にもあなたは必要ないと言われてしまう。もう立ち直れないかと思う。けれども彼は、心の赴きに従いー誰も彼の心の自由さを止めることはできないーフェンスを潜り抜け走り出す。ただ海へ。母のもとへ。(海= la mer その発音は母= la mère と同じ。)そうして、これがアントワーヌであると言わんばかりに、彼にズームインしたショットで幕は閉じる。これこそが彼だ。このショットがそれを明らかにするのだ。己の心のままに動き、そして母を追い求める、純粋な子供であるアントワーヌを。
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