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大人は判ってくれないのooののレビュー・感想・評価

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)
5.0
「私は教室の壁を穢した。」旧来の一部の良作を除いたフランス映画を弾劾し映画の再定義を試み、宣言した記念碑的傑作。教室でドワネルが落書きした詩を教師から文法がおかしいと指摘され怒られるなど、旧来の手法と決別の直接的な言及が最初の教室のシークエンスで噴出する。『大人は判ってくれない』はパザンの下でのカイエという映画史再検討集団の寓話的物語をあくまで彼らの信望する方法論に乗っ取って行動し撮影した作品なのだ。リアルさを映そうとしているのではなく、それまでの映画手法とは一線を画す映画なのだ、そこを読み違うことはこの映画史的宣言は読み取れない。ヌーヴェルヴァーグの文字通り記念碑的号砲なのだ。
特に最初の教室のシーン少年鑑別所に送られるまでのショットひとつひとつが圧巻。ドワネルの文法を卑下し教師が正しいフランス語文法を叩き込もうとするシークエンス、ドワネルのバルザック引用を教師が激しく叱責するシーン。最後のドワネルが浜辺を歩きカメラを意識するラストショットもピエール・レオーの鋭い目つき表情が忘れられない。
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