棚箸

紅の豚の棚箸のネタバレレビュー・内容・結末

紅の豚(1992年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

見た。
感想としては宮崎駿はやっぱり思想家なんだろうという事。
元々宮崎さんは自分の思想家としての部分を子供達のために包み隠してきたよね。もののけではそれがちょっと強く出ていたけど。
でも『風立ちぬ』はまさに政治思想家の映画って感じだったし、今作ってるのも小煩い大人の説教映画って感じがするんだが宮崎さんは本来は自分の思想を子供向けのファンタジーでオブラートに包んで自分の考えや主義が子供にもきちんと伝わるように映画作ってたんだよね。この映画も宮崎さんの左翼的な思想がうっすら見える程度に理解できるようになってる。ちなみに宮崎さんってこんなにいい映画作るんだけど社会主義者で左翼運動に興じてたし、米ソ冷戦時代はバリバリに東側を応援してた人。といってもなんとなくアナーキストなだけだと思う。だってアメリカも日本もソ連も中国も嫌いだと言ってる人だし。この世代の男性にありがちな人物なんだよな。

映画の感想としてはキャッチコピーに「かっこいいとはこういう物」と書いてる通り宮崎駿が思う屈折した格好良さを表現してます。主人公が豚だし見た目は醜いのであるが、あくまで生き様はとても魅力的だしキャラクターもかっこいいと思う。宮崎さん自身見てくれの格好良さよりも中身の格好良さを注視してる人物だと思うので説得力があるわ。最後にポルコが人間に戻らずに豚のまま生きていくのが良かった。見る前はよくある豚にされて可哀想な人が最後に人間に戻るっていう魔法物かな?と思ったけどちゃんと豚としての人生を肯定してくれる宮崎さんに感服した。だけどちょっとマチズモが強すぎて現代人にはウザく感じたりする模写もある。まぁ92年の映画だしいいやって感じかな。
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