みおこし

わが街のみおこしのレビュー・感想・評価

わが街(1991年製作の映画)
3.9
ローレンス・カスダン監督による、ロサンゼルスを舞台にした群像劇。ケヴィン・クライン、ダニー・グローヴァ―、ステーィヴ・マーティン、メアリー・オコンネルなど豪華俳優がそろい踏み。
ところでなぜ邦題も『グランド・キャニオン』にしなかったのでしょう…。

それぞれ人種、境遇、職業も全く異なるロサンゼルスの人々が、街中で起きる予想外の出来事や日常を通して、人生の意義を見出していく骨太な人間ドラマでした。なんとベルリン国際映画祭の金熊賞まで受賞しているのですね。全体的にトーンは静かだけれども、じわじわと深いメッセージが伝わってくる脚本でした。

ついに緊急事態宣言が国内でも発令され、”非”日常に接している今だからこそ、本作が教えてくれるテーマはより一層深いのかなと。暴漢に襲われたり、道端で捨てられた赤ちゃんに出会ったり、はたまた思いがけず不倫の恋に目覚めてしまったり…。人生は何が起きるか分からないから、「当たり前」の日々ほど尊いものはないわけで。過信して一度そんな「当たり前」を失いかけてようやく幸せの意味を知っていくキャラクターたちにものすごく感情移入してしまいました。
そして、そんな先の見えない世界を意志を持って生きていくことって、こんなにも大変なことなのか…と。正直本作で描かれるロサンゼルスは、東京と比べると治安がかなり悪いですが、もしかしたらこれが現実なのかも。平和ボケへの警鐘を鳴らしてくれる、鋭いテーマもはらんでいる作品でした。

個人的にダニー・グローヴァーとケヴィン・クラインの掛け合いがとても和やかで好きでした。あの恋愛エピソードもすごくリアルで見ながら思わずにやにや。
奥さんとの関係に悩んで不倫に陥りかけるクライン扮する弁護士は男としては良くないけど、正直この時の彼がイケメン過ぎてついつい許しちゃいそうになりますね(笑)。
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