Omizu

まぼろしのOmizuのレビュー・感想・評価

まぼろし(2001年製作の映画)
4.5
【2002年キネマ旬報外国映画ベストテン 第5位】
『8人の女たち』フランソワ・オゾン監督作品。

シャーロット・ランプリングがあまりにも素晴らしい。唯一無二ってこういう人のことを言うんだな。

バカンス先で突然夫が消えた。しかし彼女には夫がいるように思うが、水死体があがったという知らせが届き…

「私の人生はこれでよかったのか」という自分自身への問い、そして「夫は幸せだったのか」という疑問が交錯していく。こんなにもシンプルな設定であまりにも深いことを考えさせられる。

何事にも対処していくが夫のことには動揺してしまうランプリング、その微妙な心の動きを見事に体現している。ランプリングでないと成立しない映画。

そのランプリングを撮るオゾンも素晴らしい。ファンタジックで不気味な演出が彼らしい。特によかったのは途中いい感じになった男とヤッてるときに夫がのぞき込むシークエンス。セリフは何もないのにとてつもない奥深さを感じさせる。

結局水死体は夫だったのか、それは最後まで分からない。でも彼女は夫を深く愛していた。素晴らしいエンディングだと思う。オゾンに外れなし。傑作。
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