まぼろしの作品情報・感想・評価

「まぼろし」に投稿された感想・評価

aaaakiko

aaaakikoの感想・評価

4.0
数年前に見て、ああ自分はシャーロット・ランプリング沼にはまってしまったな、と実感した作品。

常に柔らかな笑みが口元に貼りついているようなシャーロット・ランプリングが、夫と笑ったり、戸惑ったり、妄想したり、泣いたり呆然としたりするのを見ているだけで楽しかった。
それにしてもシャーロット・ランプリングって何であんな魅力的なんでしょう。見ようによってはただのおばさんにも見えるのに、ものすごく美しくもなるし、裸を見せても下等ないやらしさがない。
なんだろうなあ、と思ううちにずぶずぶシャーロット・ランプリング沼。


↓ネタバレします


で、この話。
失踪した夫の母親との会話はきつかった。
「あなたは家族を作れなかった」
子どものこと?
それに対し、特に反論することもなかったシャーロット・ランプリング。
けれども、トラウマになるから見ない方がいいと警察に言われた水死体をかたくなに見ようとし、遺体がはめていた腕時計を「これは夫のではない」と(恐らく)嘘をついたのは、そうした行為で「わたしは妻である」「愛されていた妻である」ことに必死でしがみついていたのかなと思うと、最後、悲鳴のような泣き声をあげる彼女とともに、泣けて泣けてしかたがなかったです。

このレビューはネタバレを含みます

愛した夫の死を受け入れられずに夫の幻を見ながら色んな事実を知って死を受け入れそうになるが、やっぱり最後受け入れられない話?前半は幻と会話するシーンが沢山、折り返しで新規男性とベッドインで新しい人生をはじめるかと思いきや、後半はじめに夫の死体が見つかってからは幻の登場は一回だけ、新規男性との縁も切る。まだ生きているかも?という希望を失い、殺伐とした雰囲気・会話が増えていく。可哀想だと思いながら、魅力的な女性だなとは思えなかったのはなぜ。自分の事だけだったからかな。

悲しかった会話が2つ。
義母との会話。受け止められない位辛いことに直面したら、自分の心を守るために誰でも攻撃してしまうのかな。
新規男性との会話。「重くない」表現で相手を傷つけられる。
長年連れ添った夫を海で失った一人の女性が、その現実を受け容れられないまま虚と実の狭間をふらふらと彷徨う様を淡々と描いた作品。これを単純な悲劇として描くことも可能だろうが、オゾンの語り口はあくまでも冷徹で客観的。まるで人間観察を行うかのような目線で、主人公の感情の揺れ動きをひとつひとつ細やかに捉えていく。それにより、大切なものを「喪失」してしまった人間の、痛々しいほどにリアルな心情が浮き彫りにされる。シャーロット・ランブリングの演技力も凄まじいとしか言いようがなく、ただただ慄然とさせられる。
要一

要一の感想・評価

4.8
50代の夫婦、一緒にいることが至極当然なあの空気感から、日常とこの先も変わるはずのなかった未来が壊れていく様があまりに自然で、冒頭20分程でもう涙ぐむ。
そしてそれを受け入れられないそれからの妻。日常や夫と生きる当然からどうしたって飛躍できない姿が、死を前にした人間のリアルで受け止めきれないくらい打ちのめされる。大傑作。
ARiES

ARiESの感想・評価

4.8

このレビューはネタバレを含みます


まぼろし 
あなたは万物となって、私に満ちる・・・
邦題ステキ〜

フランソワ・オゾン監督〜♡
とても優雅(๑˃̵ᴗ˂̵)慎ましい
この頃のランプリングがまたいいのです。

自分も同じですよ。

✳︎腕時計が違うシーン✳︎⌚️
この描写と曖昧な表現の巧さ, 憎いね〜

まぼろし・・・
どこまでが現実なのかも, 曖昧でいい。
消えてしまったのと、亡くなったという思
い込みとも異なるでしょう。

ラストのまぼろし・・・
どちらが、まぼろしにしても
一番近くにいる, 愛しい人なんですよね。

万物でしょう♡

濃厚な愛, 奥深く, 癒しのある作品♡

Rickyもそう♡


✔︎ライアン・ゴズリング"Stay"も過ぎった
lemon82

lemon82の感想・評価

3.9
どんな映画や小説よりも、人の人生は重いし、人を失うというのは辛いこと。

その喪失感の描き方がリアルだった。
いつものバカンス中に 失踪した夫。
最初からドキドキする始まりでした。

シャーロットランプリングの 特に目の表情で
主人公の心情と ストーリーの展開を表し
静かに過ぎる毎日の中で 少しずつ
変化に気付いて行く過程が凄い…。

別荘でお茶を飲もうと並べたカップ。
ドレスと一緒に 夫へのネクタイを選ぶ姿。
未払いの診察費を支払う時の顔。
薬局の中で 必死に辞典を捲る姿。

義母と口論になった時の冷たい目。

淡々と過ぎながら積もる哀しさ。
ラストシーンが 本当に苦しいです。
目の奥と心に刻み込まれる様な
苦しいけれど 素晴らしい終幕。


「貴方は 重みがないの。」
一人旅

一人旅の感想・評価

4.0
フランソワ・オゾン監督作。

最愛の夫を亡くした妻の苦悩と葛藤を描いたドラマ。

フランスの鬼才フランソワ・オゾンの長編第4作。毎年夏に南フランスのランド地方にバカンスに出掛ける熟年夫婦。ある時、妻は夫が海に泳ぎに行ったまま戻ってきていないことに気付く。ヘリコプターによる必死の捜索の甲斐なく夫は行方不明のまま無情にも時だけが過ぎてゆく。そんな中、妻は愛する夫の突然の死を到底受け入れられずにいた…という“愛する夫を亡くした妻の苦悩と葛藤”を、彼女の前に度々姿を現す夫の幻影との邂逅を交えて映し出しています。

愛する人の死に抗い続ける妻の心の彷徨を、名優シャーロット・ランプリングが圧巻の一人芝居で表現しています。虚ろ気な表情の演技が出色で、若者グループで賑わうファストフード店の片隅で一人ポテトを口にする妻の姿が痛切でありますし、夫は既に存在しないにも関わらず青い眼の夫の為に青色のネクタイを購入する姿にも胸が締めつけられます。一向に夫の死の現実を受容できない妻は、半ば妄想的境地へと足を踏み入れていくのです。

“愛する人を突然失う”という私たち観客にとっても決して他人事ではない不条理な現実に直面する人間の苦悩や絶望に対して真摯に向き合った、普遍度の高い愛と喪失の人間ドラマであります。幻想的でリリカルな絵づくりも鮮烈です。
ROSA

ROSAの感想・評価

-
失うことより辛いのは
事実に向き合おうとしなかった自分を認めること

人は孤独
誰かを そして自分のことも分かりきるなんてないのでしょうね
生きている限りずっと
benno

bennoの感想・評価

4.1
マリーとジャンは、結婚して25年になる50代の夫婦。毎年、夏になるとフランス南西部へバカンスに出かけ、別荘で過ごすことにしています。
そして今年も…いつものように…マリーが浜辺で昼寝をしていると、ジャンが行方不明に…事故なのか?失踪なのか?

オゾン監督の、初期の作品でとてもヌーベルバーグ的。色々と深読みのできる作品になっています。

美しく歳を重ねたC. ランプリングの存在感がこの映画の全てと言っていいくらい、まるで彼女の一人芝居のようです。

夫ではない男性とのベッドシーンで「あなた軽いのよ」と言いケラケラ笑うシーンはとても印象的です。
単に夫の体重と比べているのではなく、"存在の耐えられない軽さ(?!)"と受け止められます。
また、姑と話す嫌味な言葉のひとつひとつも、女性以上に女性を描くのが素晴らしいオゾン監督には圧倒されます。

究極の愛でどんどんと壊れていくマリーを演じるC.ランプリングは圧巻。彼女は大学教授役で、そこで教えているのが、入水したヴァージニア・ウルフというのも秀逸です。

そして、いつしか現実と、非現実の狭間で彷徨い、まるで、これまで一緒に過ごしてきた年月こそが"まぼろし"かもしれない…そんな疑念も湧いてくるようになります。

作中、流れるchanson、大好きなBarbara の曲、
♬Septembre (quel joli temps)
歌詞がマリーの心情にピッタリでステキな曲です。

ラスト、夫のまぼろしを追いかけて砂浜をかけて行くシーンは涙を誘います。
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