まぼろしの作品情報・感想・評価

「まぼろし」に投稿された感想・評価

ss

ssの感想・評価

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ほとんど劇中音楽が流れない。
だからこそ音楽がすごく効果的に感じる。

シャーロットランプリング様のあの虚空の表情がとても印象的。
ふわふわと今と過去を交差しながら生きて、彼女の心はずっと夫に寄り添ったまま。本を読んでるような映画。

2019/4/7
原題は『砂の下』。握りしめるそばからこぼれ落ちていく浜辺の砂のように、現実や幸せは不確か。自分が見ていたものはごく一部で、実は愛する人の何も手に入れてなどいなかった…

冒頭、ヴァカンスに向かう道すがら、穏やかに満ち足りた妻マリーと対照的に夫ジャンの表情は虚無的で、影に包まれている。それが全く目に入っていない妻。不思議ですね。ジャンのどこにそんなに惹かれていたのかは分からないのですが。ラストシーンを見ると『まぼろし』という邦題が頷ける。近付いているようで実体すら危うい。

シャーロット・ランプリング、やはり素晴らしいです。知的で洗練されていて。こうやって年を重ねていきたいと思う。
yukinchi

yukinchiの感想・評価

3.7
喜ぶべきか、憂うべきか、10年前より響きました。
さらに10年後なら、号泣しちゃうとこかしら。

決して好みではないんですが、シャーロット・ランプリングを見ていると、ヨーロッパの熟女ってセクシーだと感じずにいられません。
滲み出るインテリジェンス。彼女の場合、それが色気を司っている。知的な彼女だからこそ、この設定が際立ったのは言うまでもないでしょう。


これって、誰にでも起こりうる話なんですよね。
たぶん、大切な存在を意識した経験がある人なら。

彼女の凄さは、人前では何事もなかったように日常を過ごせていたところ。
倒錯の片鱗はこぼしつつ、夫を刺激するように情事を受け入れる。これは上級者にしかできないですよ(笑)。


結局何が幸せかなんて、本人にしか分からないもの。
小生は、ああいう幸せを選び取った彼女の意地が、好きでした。
賛否両論だとは思いますが…。

ラストのシルエットが、また絶妙なんですよ。
本当にこれでいいのだろうかという監督の逡巡が、あの軌跡に込められていたような気がします。
女性の心理をあれだけ緻密に演出できるオゾン監督、脱帽です✴


深い、深い、大人の恋物語。
解らない方が、むしろ幸せなのかもしれません(苦笑)。
tiga

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4.0
急に大事な人がいなくなったら、残された人はどうすれば良いのか。諦めて涙した次の瞬間、似た人を見つけて走り出す。
切なすぎる女性の姿を、初老の女性が驚くべき色気で演じています。フランスの女性は年を取るごとに色気が増し、男性もそんな女性達を愛してくれて。
若さこそ美、の日本人の感覚、ちょっと浅はかで寂しい気がしてきた。
655321

655321の感想・評価

3.3
海辺で夫婦ふたり。
うたた寝から目覚めると、夫は姿を消していた。妻は現実逃避するように夫のまぼろしと生活を始め…というお話。

自分の愛する人が忽然と姿を消した時、
貴方は何を思いますか?

私は恐らくこの映画の妻マリーと同じく、事故を真っ先に疑うでしょう。
幻を見ることは恐らく無いと思いますが。

しかし、自殺だったら?
あるいは、別の場所で別の人生を歩んでいたら?
その瞬間、“夫(妻)とのこれまでの生活”が「まぼろし」に思えてくる。

“私の瞳に映る優しい貴方はまぼろしなの?”

いつから「まぼろし」だったの?
分からないし、分かりたくない。
Akari

Akariの感想・評価

5.0

意外と気づかない、気づけていないの

あなたがわたしが、
どう在るのか、在りたいのか
在りたかったのか問いかけるのよ
みっこ

みっこの感想・評価

4.0

あたなのいない世界が幻なのか
あなたのいる世界が幻なのか

愛し愛されたその日々の終焉を
現実なんていう言葉では片付けられない

彼女の生きている世界は、
生きていく世界は、
どこの世界のものなんだろう、、、

私の"今"も
もしかしたら幻だらけかもしれない
もう実体のない人間を思い出しながら
生身の人間に向かって
「貴方って軽いんだもの」(質量の話です)と台詞の巧みさよ
Nagi

Nagiの感想・評価

4.2
さざなみが未見で、
順番が違ってしまったけれど、
もう観たくて我満出来ずに鑑賞。
久々すぎて手を伸ばせずにいたオゾン。
やはり彼の作品は最高。

決して軽すぎない存在、
可笑しくて笑ってしまう心情。
どこからどこまでが現実なのか。
一度抱き溢れた感情は収拾がつかない。
三畳

三畳の感想・評価

4.4
心でずっと泣いてました。上に乗られて「あなた軽すぎるんだもの」と言って笑い出すシーンで心が泣いてました。同じ椅子に違う人が座ったり、同じ会話を違う人として噛み合わない、なんてことがつらすぎる。
まぼろしっていう日本語から私が連想する、儚くて手が届かなくてキラキラした残酷なもの、というイメージの全てが詰まってた。

時々ふと考えたくないような最悪の妄想をしてしまうことがある。愛する人がある日突然死ぬか、失踪するというものです。いくつもリアルなパターンが思い浮かんで、頭から振り払おうとしても、再生停止ボタンが壊れたホラービデオみたいに止められない。明け方1人で目覚める時が多いから妄想じゃなくて悪夢なのかもしれない。
アホなことだけど、枕に涙がにじむほど悲しみに沈みきってきると、これが現実なら絶対耐えられないと思うし、そうなった時の自分の行動を考えたらその日のうちに後追いする。そうなる前に頭がイカれる。情報の津波の第1波を塞きとめる本能としての防波堤、それを描いた映画だと思いました。

だけど、この映画の大事な見所に大人の官能シーンがあって、それは単なる性欲か肌寂しさかわからないけど、少なからず生の方向に引っ張られる本能がある。
だからボロボロでも全部受け入れなくても現実の体はちゃんと前を向けるように、そして生活がいつか心を満たしていくように、小さな希望に終着するのかな。と思いきや。

(そうなってくれるすごく良い映画にオドレイトトゥの「ナタリー」があって、あの前半の悲しみのどん底描写も個人的に心に響く。だからもし自分の辛い経験と重ね合わせてハッピーエンドを望んだことのある人にはぜひ見てほしい。)

私は今作のまぼろしエンドが大好きだな。全然、作風も重みも違うんだけど、忠犬ハチ公の物語をリチャードギアが演じた映画「HACHI」を思い出した。あの映画にも美しいまぼろしによる、主観でしかない、瞬間でしかない救いがある。
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