ほうゆー

まぼろしのほうゆーのネタバレレビュー・内容・結末

まぼろし(2001年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

えええ~~~~この監督、男性だったのか!!!!!本当にビックリしている。しかもこれを齢32歳で撮っているのか…

と昨日知り驚愕したので、記録。


主演女優さんの演技に大いに支えられている作品だが、脚本も物語もよく出来てる。印象にのこる台詞が多い作品だった。

一番記憶に鮮やかなのは、主人公の義母がいう、
「貴女は子供をうんでいないからわからないかも知れないけど」
という台詞。
これを言わせたのが男性監督だとは思わなかった…当時まだ20になったかなってないか程度で、勿論出産経験も、というか恋愛経験もろくになかった自分だが、ものすごい刺さった記憶がある。
ひどく残酷で。でも、一定の説得力があるシーンで。だからこそ残酷で刺さって記憶に残っている。

子孫を紡いでいくのは、生物学的には為すべきことで、女性がなせる偉業で、しかし私はそれを避ける思考の人間だったのだが、そんな自分に一定の罪悪感があり、嫌悪感もあり、だからか主人公が言われた痛みにものすごく共感してしまってつらかった。
そんなのわかってる。でもそれを今の主人公に言うなんて。言われなくても、わかってるのに。「うまなかった自分」を、自分が一番、意識して生きてきてるのに。


これだけ「雌」として感情をかき乱されたので、まさか男性が作った作品だと思ってなかった。同性愛を公言しているらしいので、それも影響しての監督の世界観でできた作品なんだろうか。
私のなかでひどく「女性的な作品」に分類していたので、本当に驚いている。才能としか言いようがない。

フランス映画らしい画で、派手なシーンは当然一切無いのだが、緩やかに病んでいく主人公の心情が、画面から伝わってくる。静かに刺さる秀作。
ほうゆー

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