一人旅

サンドロット/僕らがいた夏の一人旅のレビュー・感想・評価

5.0
デヴィッド・M・エヴァンス監督作。

90年代青春映画の隠れた名作中の名作ですが、日本では未DVD化のためVHSで鑑賞することができます。

1962年のアメリカの田舎町を舞台に、他州から引っ越してきたばかりの野球好きな少年スコティと草野球仲間たちのひと夏の友情を描いた青春ジュブナイル映画で、『スタンド・バイ・ミー』(1986)を彷彿させる煌びやかな青春ノスタルジーに酔わせてくれる隠れた名篇となっています。

地元の少年草野球チームに加入したひ弱な少年と8人の個性豊かなチームメイトが織りなすひと夏の交流と騒動を大らかなタッチでユーモラスに描き上げた少年青春譚で、野球場という名の原っぱで行う野球の猛練習やライバルチームとのプライドを賭けた大試合、大賑わいの市民プールで巻き起こすちょっとした恋の騒動、夜の遊園地での大はしゃぎ、年に一度の花火大会…と少年たちの何にも縛られない自由で無邪気な日々をノスタルジックに映し出していきながら、義父の宝物であるベーブ・ルースのサインボールを怪物犬の潜む庭から回収するため知恵を絞り合う少年たちの命懸けのボール奪還クライマックスへと突入していきます。

9人の少年たちの野球と遊びと恋と友情に彩られたひと夏の想い出をノスタルジックに描いて、大人になっても決して色褪せることのない少年時代の青春の煌めきを追体験させてくれる青春映画の愛すべき名作で、本作のような作品こそ世の中から忘れ去られる前に再ソフト化してほしいものです(余力のあるメーカーさん、よろしくお願いします)。
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