ナツミオ

ロング・エンゲージメントのナツミオのレビュー・感想・評価

ロング・エンゲージメント(2004年製作の映画)
4.5
劇場公開鑑賞及びWOWOW録画鑑賞、所有DVDで数度目の鑑賞。

お気に入りの『アメリ』をWOWOWで久しぶりに観た流れで、こちらも大好きな本作を鑑賞、レビュー再投稿。

『アメリ』の監督・主演女優、スタッフが再結集したロマンス・サスペンスの名作。
トトゥが成長した大人の女性を魅せる。

戦争で亡くなったと言われる恋人の死を究明する女性。
1920年代のパリ、ブルターニュと過去の戦場のフラッシュバックが交差するロマンス・ミステリー。

原作は、セバスチャン・ジャブリゾ『長い日曜日』(創元推理文庫)ベストセラーの映画化。

原題・仏語:
『Un long dimanche de fiançailles』, 「婚約中の長い日曜日」の意、
英語題:
『A Very Long Engagement』, 「とても長い婚約」の意

アカデミー賞ノミネート
撮影賞、美術賞

セザール賞受賞
助演女優賞、有望若手男優賞、撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞

2004年仏・米作品
監督 ジャン=ピエール・ジュネ
脚本 ギョーム・ローラン(アメリ)
音楽 アンジェロ・バダラメンティ
撮影 ブリュノ・デルボネル(アメリ)
美術 アリーヌ・ボネット(アメリ)
編集 エルヴェ・シュネイ(アメリ)
出演 オドレイ・トトゥ ギャスパー・ウリエル ドミニク・ピノン(アメリ) アンドレ・ドュソリエ (アメリ、語り) ティッキー・オルガド マリオン・コティヤール(TAXi、マリアンヌ) アルベール・デュポンタル(天国でまた会おう)
ジョディ・フォスター クロヴィス・コルニアック ジャン=ピエール・ダルッサン ジャン=ピエール・ベッケル チェッキー・カリョ

(Kinenoteあらすじより)
第1次世界大戦下のフランス。戦場に旅立った婚約者マネク(ウリエル)の身を案じていたマチルド(トトゥ)のもとに、悲報がもたらされる。軍法会議で死刑を宣告されたマネクが、ドイツ軍との前線に置き去りにされたというのだ。マチルドは村からパリに出て、探偵ジェルマン・ピエール(オルガド)を雇い、マネクの捜索を始める。彼に何かあれば自分には分かるはずという直感を信じるマチルドだったが、ある日、ピエール=マリー・ルーヴィエール弁護士(デュソリエ)からマネクの死を示唆され希望を失う。だがセレスタン・プー(デュポンデル)の証言により、マネクが生きている可能性が示された。そしてマネクと一緒に死刑宣告された兵士のうちの一人、ブノワ・ノートルダム(コルニヤック)を見つけ出すが・・・

第一次世界大戦の西部戦線で激戦地となったソンムの戦いが舞台。
戦場シーンは最初から雨のぬかるんだ泥や仏軍服のブルーと周囲の残骸などグレー主体の映像で陰鬱な印象から。

現在のパリやブルターニュ地方の明るく光溢れる明るい色使いで対比を見せることで、過去と現在が行ったり来たりでも映像ですぐに理解できる。

子供のころからの幼馴染の2人はいつしか愛し合う仲に。
恋人マネクの死を受け入れず、
「彼に何かあれば直感で判る」
と、自分の感覚を信じて行動するマチルド。
そして所々で彼女の「験担ぎ」が揺れる心の内面を描写する。
出征するマネクが彼女の叔父の車で出発し近道で追いかけた彼女
「車より先に着いたらマレクは無事に帰ってくる!」

マネクが彫る「MMM」の文字
「Manech aime Mathilde」(マネクはマチルドを愛している)の略。フランス語で「aime」(愛する)は、Mの字と同じく「エム」と発音する。英語の字幕では「Manech's Marrying Mathilde」(マネクはマチルドと結婚する)と置き換えられた。
(Wikipediaより)

脇役も充実、印象的なシーン
・マチルドの叔父叔母夫婦が癒しキャラ
「犬のオナラは幸運の知らせ」

・郵便配達人
自転車でいつも叔父自宅庭の砂利を撒き散らしながら自転車を止めるが、叔父が石畳に替えて、ひっくり返る。

・仏軍塹壕「ビンゴ・クレビュスキュル」の個性的な面々。
中でも、「調達の鬼セルスタン・プー」役アルベール・デュポンタルの欲しいものは手に入れる手腕。マネクが食べたい食料を調達する手際‼️
現在のシーンでも、いい役柄。

・恋人コルシカ人を殺された復讐の為、将校達を暗殺する娼婦ティナ・ロンバルディ(マリアン・コティヤール)の暗殺の手際。

・公開時、ビックリした脇役に徹したジョディ・フォスター。
出演場面は短いながらも、印象的な演技は流石‼️
マチルドと出会う市場のシーンは、色彩が美しい。
訛りの無い滑らかなフランス語は、トトゥ自ら『私の仏語より完璧でアクセントが全くない。驚異的な仏語よ!』と絶賛。
ビスコット・ゴルディの妻エロディ役、夫のある頼みを受け入れたことで心に大きなトラウマを抱えることに。

個人的には『アメリ』より評価が高い名作。

「彼女は背筋を伸ばして腰かけ、両手を膝の上に重ねて彼を見つめた。
優しいそよ風と庭の光に包まれてマチルドは見つめた。彼だけを見つめた。いつまでも・・・」
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