mh

君のためなら千回でものmhのネタバレレビュー・内容・結末

君のためなら千回でも(2007年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

平和な頃のアフガニスタン・カブール→ソ連侵攻時代→タリバン支配時代の三十年を背景とした主人公の半生記。
原作はとあるプロットで物議を醸した大ベストセラー。
ミッドポイントまでは、故郷からの手紙にいざなわれて回想する幼少期。
ミッドポイント以降は、仲たがいしたままになった身分が違う親友に会うため、タリバン支配下のアフガニスタンに赴く。
あのあたりのあの色調は、ソ連軍が樹木を伐採したことで生み出されたというのが目からうろこ。
パシュトゥン人は知ってたけど、マイノリティかつ差別対象であるハザラ人は知らなかった。歴史が長いけど、総じて教育が低い地域のほとんどが差別主義に染まっているような気がすんね。
原作は主人公の独白形式だったらしく、映画化にあたって主人公のキャラ造形を新たにしたのがいい影響を与えている。
憶病で賢いアンチヒーロー――鬱屈したキャラがかなり良い。
少年が少年をレイプおよび大人が少年をレイプのプロットはかなりびっくりした。やはり、ここが物議を醸したとのことだ。
「イスラーム世界の少年愛」なんてトピックがWikipediaにある。それが伝統的なものだとしても、児童性愛はアフガニスタン戦争で問題になったトピックではないあたりが物議を醸した要因かな? 原作だとうまく説明されてるんだろうけどね。映像だとえぐいほうが先にくるので、ひとこと言いたくなる気持ちもよくわかる。
アメリカがのちに侵攻することにはすがすがしいほどノータッチ。この映画に、アメリカ視点のアフガニスタン戦争を正当化するプロパガンダもあるんじゃないかという感想も見つけてなるほどと思った。
アフガニスタンが舞台の映画はかなりの数にのぼると思うんだけど、その背景である複雑なイスラム世界を知るためにもうってつけの一本。
面白かった!
mh

mh