猫脳髄

アメリカン・ビューティーの猫脳髄のレビュー・感想・評価

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)
4.0
アメリカン・ビューティーとは、アネット・べニングが丹精込めるバラの品種であり、また、ケビン・スペイシーとベニング夫婦ら郊外に暮らす中流アメリカ人家庭の美徳の謂いである。サム・メンデスが後に撮るド派手なエンタメ作品からは想像できない90年代アメリカの「中流崩壊」を映し出したブラック・コメディ。

登場人物がそれぞれ美徳のカラを破って自らの欲求に忠実に行動することで高揚感を手に入れるが、最後に待ち受けるのは家庭と中流モラルの崩壊である。それで最も荒れるのはスペイシーではなく、隣人の厳格な軍人クリス・クーパーの家庭なのだが。

中流の悲喜劇を織り交ぜながら、オフビートな基調でアメリカ社会の変化をたどった意欲作。やはりこういうテーマは外国籍やマイノリティが撮るのがうまい。
猫脳髄

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