ねこ吉

アメリカン・ビューティーのねこ吉のレビュー・感想・評価

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)
3.5
うだつの上がらない父、虚勢を張る母、 思春期の気難しさ真っ只中の娘。
そんな家族の隣に越して来た、元陸軍の父、情緒不安定な母、薬に手を染める息子。
この2家族6人が抱える心の問題が、徐々にある事件を引き起こして行く...という話。

コメディタッチで、笑わせる場面がいくつか出てくるのだけど、そこに深淵なアメリカの抱える問題が込められているようで、徐々に笑えなくなって来ました。

周囲の目を気にして抑え込んでいた自我を、ひょんな事から解放した主人公の変化から、この2家族の崩壊が始まって行きます。
崩壊が始まる、と言うか、壊れていた家族の終焉が始まったのでしょうね。

ただ、物語上、終始事の悪は主人公であると集約化されているように感じられた。
誰もが心の問題を抱えていて、主人公だけが自身と向かい合っていった。結果周囲の人は問題から逃げ・人に擦りつけて最悪の事態を引き起こしたのだけど、心の支えがとれた(ように見えた)のは、向かい合った結果得られた幸福だったのかな。

事なかれで本音を言えず壊れていた家族と、本音を言う中で壊れていった家族と、どちらが幸せだったのでしょうか。
ねこ吉

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