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エリソーのhasseのレビュー・感想・評価

エリソー(1928年製作の映画)
3.8
岩波ホール「ジョージア映画祭」オープニング作品。

タイトルに比して思ったほどエリソの物語ではなかった。彼女の恋人の活躍が大きい。室内のドタバタチャンバラ劇は屈指のギャグシーンでもある。将軍の靴べらのような太い口髭が切り落とされていたらもっと笑えたかも。

貧しい寡婦の新居づくりとダンスシーンでのリズミカルで素早いモンタージュは、エイゼンシュタインらに負けじとする実験的な意気込みを感じさせる。壁に大きく映る人影はドイツ表現主義の先駆とも言える。

銃を持っていれば謀反の意ありとして当局に村を追い出され、持たなければ自衛できず野盗らに村を襲撃される。詰みの状態だからこそ、エリソらの活躍むなしく村人たちはトルコへの移住の覚悟を決める。道中、赤子の母親が病死し、項垂れる村人たち。だからこそ悪いこと続きの状況を吹き飛ばすようなダンスシーンが見応えある。

オープニングトークでジョージア駐在大使が着ていた民族衣裳チョハが、劇中にも出ていた。胸ポケットは弾薬類を詰めるためのものらしい。胴回りはキュッと絞り、腰下はゆったりと裾が広がっていて、なかなかオシャレ。
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