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われらの恋に雨が降るのBONのレビュー・感想・評価

われらの恋に雨が降る(1946年製作の映画)
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当時新鋭の脚本家だったベルイマンが監督した記念すべき初作品。脚本はヘルベット・グレ・ヴェニウスとの共同執筆で、原作はノルウェーの劇作家オスカー・ブラーテンによる戯曲「Bra Mennesker(善良な人々)」が基となっている。また、後にベルイマンの作品に20本近く出演することになる俳優のグンナール・ビョルンストランドが脇役ですが初出演作品。

ストーリーは、駅で知り合い恋に落ちた男と女が、お互いの隠された素性を受け入れながら新しい生活を築こうとするも、様々な壁があって上手くいかない…というような物語。

雨の中、傘を差した男が観客に向けて話しかけてくるメタ構造スタイルで始まり、度々劇中でも主人公達を助けたりする。

ベルイマンの名作はおおよそこのようなメロドラマのようにロマンティックな映画は少ないと思うが、『もだえ』(1944)同様、初期作では若者の背中を後押しするような爽やかな映画もあったんだな。人間の善悪の二面性や、自分の過去とどう向き合うことで生じる葛藤や道徳的なジレンマをどう乗り越えるのかなど、人間が直面する苦悩の表現はこの頃から健在。
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