ポンコツ娘萌え萌え同盟

浪花の恋の物語のポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

浪花の恋の物語(1959年製作の映画)
3.5
近松門左衛門が1登場人物で出てくる作品といえば『藤十郎の恋』とかある。ただあっちは原作菊池寛だけど、『浪花の恋の物語』は近松門左衛門が原作でありながら、近松門左衛門が出てくる。近松らしい飛脚問屋の養子の若旦那・忠兵衛と遊郭の女・梅川の不義、破滅と悲恋。資金の強さが物を言う世界と不人情的な世界に存在する近松はこの現実をどう捉えるか。

本編がフィクションの中にありながら、近松の存在は更にメタ的に切り込んでいくことで奥行きを与える。とりわけそんなこんな最も記憶に残ったのが千恵蔵の近松。問屋の忠兵衛も中村錦之助と言わずと知れた時代劇スタァの二人。現実の主役と現実から想像者と真反対な立ち位置。

街や遊郭のセットの魅力、雪の中(先週に引き続きまた雪か…)などの背景が美しく魅力的。雪と情感モノの相性の良さがあるけど。その一方で舞台を意識した見せ方の演出、ある場面の人形浄瑠璃を彷彿させる有馬稲子の動き。
カメラが引いてき本映画鑑賞者と本来の"観客"と別背面の立ち位置で見せてくるメタ的なショット。ドラマを観ていたのに本作が真に完成されるまでの裏側を見た気分。
ただちょっぴり序盤が意識朦朧だったので今度再鑑賞したいなぁ。