ChinaHiranuma

浪花の恋の物語のChinaHiranumaのレビュー・感想・評価

浪花の恋の物語(1959年製作の映画)
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何度「ばか…っ!」と叫ばせるんだ。金もなんも知らないダメダメ腑抜け忠兵衛の脱皮したてみたいな声の柔さ。伏しがちな梅川の眼がいざ見えるとどうにかなりそう、愚直でいい子だそら惚れるわ。動くカメラに合わせて田中絹代がパンをしたり、いかにもな千恵蔵アップに時々我にかえりつつ、情緒あふれる泣きの空模様、錦之助&有馬(舞いには溜息が出るほど)にうっとり。大尽の二両は汚いけど、封印切で忠兵衛の懐から投げつける三百両は金ピカなんだ(公金はみなそういうものなのか知らんけど)。創作に現実とは違う希望をなんとか生み出そうとする御大は監督の心そのものなんじゃなかろうか。みんなしとしとしてるなか唯一カラッとしている浪花千栄子あっぱれ。
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