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現代やくざ 血桜三兄弟のyujishibasakiのレビュー・感想・評価

現代やくざ 血桜三兄弟(1971年製作の映画)
5.0
最高…。最高…!
東映ヤクザものでも突出した傑作じゃん。任侠以後実録以前。このシリーズ最高作だと思う。
荒木一郎演じる<モグラ>というパンピーをキャラクターに置いたことで、<暴力への憧憬がありつつそれに憧れるしか無い>無力な観客の視点を残酷なまでに内在化させることに成功している。(これが、他の東映ヤクザ映画だと、商売女の卑屈な視点に安易に回収されてしまいがち。その政治的ジェンダー論的マズさよ)。
そして、野坂昭如「マリリン・モンロー・ノー・リターン」の暗いアンセム性よ…。(この歌詞、今からすれば、モロでニック・ランドですね)
非力な(暴力的に)、ギークの、ナードの、狂気的犯罪を、総てを請け負う存在として、荒木一郎が設置される。これは、当時の観客にとってどう写ったのだろう。70年代安保闘争衰微時期にこの劇作は、本当に観客の抱いたであろう切なさを察するに涙。
早乙女ゆうとの絡みが本当に良くて…。
暗い、諦念にまみれた、一つの時代が終わることへの、美しい弔い。そういったものはいつでも観るものをぐろぐろと焚きつける。
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