芸術性を求める運動としての台湾ニューシネマのさなか、レコード会社の出資によるアイドル主演映画という異色感のある作品。
商業映画にあってもホウシャオシェン監督の自己主張はふんだんに盛り込まれ、象徴的なのは食卓ローアングル定点画角の多用。不在状態からキャラクターの出入りをそのまま写し続ける演出は小津監督の影響そのもので、自然体へのこだわりを感じる。
結果、知り得ることのなかった当時の台湾がまるでそのまま保存されたような映像を体験することができる。
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・この自然体演出は、台湾映画への興味を深めるきっかけとなった弟子ホァン・シー監督の「台北暮色」にも受け継がれていたので、繋がりを認識できてなんだか嬉しくなった。
・台湾映画ってもれなく、家族とかつながりを象徴するものとして食事するシーンがある気がする。しかもだいたい美味そうなんですよね。