青山

P.S. アイラヴユーの青山のレビュー・感想・評価

P.S. アイラヴユー(2007年製作の映画)
3.8
ついに見ました。なんせ泣けるラブストーリーといえばこいつか「きみ読む」かの二択と言っても過言ではないくらいの金字塔にしてネオクラシック。要は超有名作だから身構えて観たわけですが、うーん、良い......。

喧嘩が多くもラブラブのホリーとジェリーの夫婦。しかし、結婚生活は長くは続かず、ジェリーは病死してしまいます。夫を亡くし哀しみで腑抜けてしまうホリーですが、ある日死んだジェリーからの手紙が届き......っていうストーリー。

もうね、急なんですよ、亡くなるのが。作中人物からすれば闘病とか色々あっただろうけど、こっちは「実はもう死んでました〜」みたいな感じでいきなり言われても戸惑う一方で、最初は唐突すぎて正直そこまで感情移入できないかなー......なんて思ってましたが、違うんです。そこから回想と妄想と現実の3つが入り混じるややこしい構成で少しずつ2人のこれまでのことが描かれていき、観客も徐々に哀しみを実感できるという仕掛けになっているわけです。
そして、哀しみに暮れながらも友達やいい感じの男や母親たちと過ごして前を向くために奮闘、時には迷走するホリーの姿に元気をもらいます。
しかし夫からの手紙はそれからも容赦なく届き続け......これじゃ忘れられないじゃない!というアンビバレンスと、その着地点こそが本作の見どころであります。最後は「え、え〜〜??」となりましたが、案外そんなもんかも。なんにしろ美しい結末を見せていただきました。

ところで、やっぱりフラれるのと死別とは丸っ切り違うわけですな。普段フラれるタイプの失恋ものの映画は好んで見るのですが、ああいうのはわりとこううじうじした陰鬱な感じなんですよ。それに比べて、今作は前を向くより他にしょうがないというところで悲しい話ではありながら結構明るくて笑えたりもするんです。
そうやって頑張る主人公を見てると自分を省みて恥ずかしくもなりましたが、本来人間はこうあるべきなんでしょうね。今さらですけど大事なことを教えてもらった気がします。今度フラれたらこういうステキな対応が出来るようにしたい。
青山

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