おかだ

ミッドナイトクロスのおかだのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドナイトクロス(1981年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

ラストが上手い映画ランキング1位


デパルマ固め打ち第二作。
若き日のジョントラボルタが主演の風変わりなサスペンス映画。

改めて、ヒッチコックフォロワーというだけあってサスペンス演出がやたらと上手い作品であるが、それよりもトラボルタの熱演が話題を攫う。

「サタデーナイトフィーバー」が大好きな自分としては、「パルプフィクション」での大復活以降の飛び道具的なイメージに対して、今作を以てそらみたことかという感じなのですが、それはいいとして。


音にフォーカスしたミステリーとしての物語は、大筋は偶然大きな事件に巻き込まれる一般人という型に沿っており特筆すべきものは特にないのだが、とはいえやはり随所に見せる演出の上手さが非凡であった。

スプリットスクリーンからの、スイッチカットや音声を使ったサスペンスの素晴らしいこと。

円環や窃視にこだわるデパルマ作品でも、特に屋内ショットが多い今作では、サスペンス演出の多さとも相まって奇妙な室内の俯瞰ショットが目立っていた。
その上、さすがに酔ってしまいそうなカメラの回転も健在である。

他にも、序盤のトラボルタによる集音散歩シーンでも、それこそスプリットスクリーンと見紛うような、カエルやフクロウなどの生物とトラボルタとの遠近感ガン無視のスプリットフォーカスからして面白くて掴まれてしまった。


そして何と言っても今作の魅力はやはりラストシークエンス。

音声とスイッチカットを巧みに用いサスペンスを効かせながら徐々に近づいていくトラボルタが、ついに同一視界に彼女を捉えたショットから、腕の中でこと切れる彼女と背景の美しすぎる花火の皮肉な対比を切り取った完璧すぎるシーン。
雪の積もる中で録音を聴くショットを挟み、冒頭の小ネタを回収する物語における円環構造。
さすがに良すぎて、しばらくは打ちのめされておりました。


奇しくも今朝話をした「スパイダーマンNWH」や、「アメイジングスパイダーマン2」のクロージングは狂おしいほどに好きだったのですが、やはり今作に敵うラストはさすがに出会ったことがないな。

圧倒的におすすめです。
せっかくなのでしれっとサタデーナイトフィーバーも推しておきます。
おかだ

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